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北米の肥料市場、サファーコの新設を懸念

1991/05/16

 北アメリカの窒素肥料メーカーとサファーコ・プロダクツ社との争いは、北アメリカの肥料市場をひっくり返す恐れがあり、また連邦通商委員会(FTC)の不法なダンピング輸入を規制する能力を弱めることにもなりかねないとみられている。

 サファーコはカーギル・リミテッドと加サスカチュワン州政府との折半合弁の企業で、サスカチュワンのベル・プレイン近くに日産3500トンの無水アンモニアおよび日産2000トンの粒状尿素を生産する窒素肥料工場を建設中で、完成は1992年に予定されている。

 同社の製品はカナダ大草原のオンタリオ州南部、米国北部の国境沿いの地方および環太平洋地域に販売することになっている。これらの地方に販売しているほかの肥料メーカーは、サファーコは州政府から不公平な助成を受けていると非難し、さらにこれらの地方の供給過剰を生じ、価格を引き下げ、助成されていない工場を閉鎖に追い込むとして、工場の建設および米国への販売を中止させようとしている。サファーコの工場建設を阻止するため、米国とカナダの窒素肥料メーカーはそれぞれロビー活動グループ‐米国窒素工場特別委員会およびカナダ窒素工業協議会‐ を形成した。しかしカナダのグループは工業建設阻止に成功しなかったようである。

 米国のグループは、連邦通商規則を改正し、FTCがサファーコ製品の米国への出荷をストップさせるか、不公平な価格利点に罰則を課するよう働きかけている。

 カーギルは工場建設に6500万カナダドルを支出し、サスカチュワン政府が6400万カナダドルを支出し、さらに3億500万カナダドルのローンの保証をカーギルに与えている。米国とカナダのライバルは、ローンの保証は政府助成であり、カーギルは赤字になろうがなるまいが、コスト以下で競争販売することができるとしている。

 またあるメーカーは、この地域には十分な生産能力があり、生産増強を必要としないといい、サファーコは世界的に品不足が生じるといっているが、それではなぜ輸出に便利な西海岸に工場を設置しないのかと反論している。

 彼はさらに「新工場が赤字になることは必至であるが、カーギルはそのリスクを何も負っていない。サスカチュワン政府が納税者の犠牲において、この赤字を吸収しようとしている」という。

 CFインダストリーズの社長で特別委員会議長のロバート・C・リウチ氏は「われわれが問題にしているのは、必要のない能力の追加ではなく、サスカチュワン政府による助成である。カーギルであれ誰であれ、自己資本を使用し、自由市場でリスクを自信で負う限り、その必要があろうがなかろうが窒素工場の建設に反対するものではない」と語った。

 リウチ氏によると、ワシントンD.C.のICFコンサルティング・アイソシエーツは、カーギルの新工場によって米国北部の尿素の価格は12‐17%落ち、尿素の出荷が4‐6%減ると予想し、またカリフォルニア州フォスター・シティーのブルー・ジョンソン・アソシエーツは、いまの市況では新工場は10年後には経営赤字の累積が1億1200万ドルになると予想しているという。

 カナダ・バンクーバーのアグリケミカルズ・エコノミック・リサーチ社(AER)のブライアン・プレンチス社長は、1982年以来、窒素肥料市場が成長していないので、新工場が稼働すれば市場はダブつくであろうという。

 彼は「米国およびカナダ西部の既存の工場はみな自己資本によって経営され、市場原理に従っているが、サスカチュワン政府はサファーコに天然ガスの値引きを与えるであろうし、そのほか種々の法律上の便宜を与えるであろう」と予想している。

 AERによると、サファーコ工場にアクセスできるすべての市場の窒素の需要は1980年の860万トンから1985年に910万トンに成長したが、1990年に830万トンに落ちた。カナダ中西部、サスカチュワン西部および太平洋北西部、およびカナダ、米国の窒素の需要も同じパターンに従っているという。

 カナダ西部の需要は、1980年の59万トンから1985年に91万トンに増加したが、1990年に89万トンに落ちた。サスカチュワンの需要は1980年の14万トンから1985年に30万トンになり、1990年に27万トンになった。カナダの需要は1980年に83万トン、1985年に125万トンになり、1990年に120万になった。

 米国中西部の需要は1980年に640万トン、1985年に650万トン、1990年に590万トンであった。太平洋側の北西部の需要は1980年に160万トン、1985年に170万トン、1990年に150万トンであった。米国全体の需要は1980年に1140万トン、1985年に1150万トン、1190年に1050万トンであった。

 サファーコは自社に対する非難に抗弁し、州政府から何らのローンも助成金も受けていないと強調している。同社は3億500万カナダドルの借り入れで政府の信用保証を得ていることは認めているが、これに対し料金を支払っているという。同社の対借入金自己資本比は70対30であるという。

 サファーコによれば、新工場は尿素および無水アンモニアを年間40万6000トン生産する能力で、北アメリカの窒素肥料の能力を2.5%増加させるだけであるが、北アメリカは窒素不足で、年間100万トン以上を輸入しているという。

 同社は「新工場がフルに稼働しても、北アメリカの窒素不足の半分も満たすことができない」といい、「工場は航空ラインに近いので、環太平洋地域への輸出便宜をもっている」という。

 米国側の特別委員会は院外活動によって、FTCの権限拡大を議会で審議させることに成功した。上院議員トーマス・ダシュル(サウス・ダコタ州選出)が16人の共同提案者とともに、連邦通商規制の改正案を議会に提出した。現行法では、FTCは米国にダンピング輸出しようと意図している外国の政府または会社に制裁を課することはできないが、これを改正しダンピングを時前に先制しようとするものである。

 ダシュル改正案は、全米小麦栽培業者協会、全米農業共同組合評議会、独立石油協会、全米畜牛業者協会、全米農業連盟、精米協会および全米養豚業者評議会の賛成を得ている。サファーコは特別委員会の動きを深刻に受け止めているが、ダシュル改正案は自由貿易を抑制しようとするものであり、非肥料業者のロビー・グループが改正案を支持しているのは、サファーコ工場の脅威を感じているためではなく、彼らが保護主義を望んでいるためであると非難している。

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