山菜というすばらしいものを、自然からの恵みとして私たちに与えてくれる山野の植物の中には、また、私たちの病気の予防や治療に力をもつものが少なくありません。
古来から洋の東西を問わず、それら植物の有効成分は病気の治療剤として、また予防剤として利用されてきました。
長い長い時代を通して、幾多の経験を経た上でのことだったのでしょう。
中には、全くそのような効果がないにもかかわらず、いかがわしい一過性の、つくられた流行にまどわされるという代物もありますが、その効果が認められて使用されている多くの薬用植物があります。
それらが漢方薬として、または民間薬として、今に至るまで広く用いられています。
では、漢方薬と民間薬とはどこに差があるのでしょうか。
漢方は、中国の後漢時代に集大成された、病気の治療や予防のための処方のことをいうのであって、漢方薬とは、その処方のために用いられる生薬のことをいいます。
その原材料の大部分は、中国その他の国々からの輸入品にたよっているのが現状で、中には劇烈な成分を含むものがあったりして、処方、投薬ともに、それらに対する専門的知識が要求されます。
一方、民間薬といわれるものは、和方ともいい、古来から日本で独特に発達したもので、病気の治療その他に用いられるものです。
身近に自生する薬用植物で、劇烈な副作用がなく、安心して一般家庭でも利用できるものが多く、中にはすぐれた治療効果のあるものも少なくありません。
草根木皮の類を用いるのが漢方と誤って考えられることがありますが、漢方では、その症状に応じて数種以上の生薬を配合して用いられるのが普通です。
民間薬では、ほとんどのものが一種のもので用いられている点が、両者のちがいだといえるでしょう。
西洋医学の発達と新薬療法の普及によって、漢方、民間薬ともに時代遅れの扱いを受けるようになりましたが、最近になって再び、それらの良さが見直されてきています。
民間薬を正しく用いて、自然の恩恵を惜しみなく受けることをおすすめします。
ただ、この本は薬草の本ではありませんので詳しく述べることはできませんが、まじめな研究者による薬草の解説書も数多く出版されているので、それらを一読されることをおすすめします。