元来が救荒食とされていたものが多いので、複雑な調理法はありませんでした。
さらに、山菜類はそれぞれに特有のくせ、個性をもっているものが多いものです。
これらのくせや個性もまた味のうち、その個性を生かして味わうというのが山菜料理の身上です。
したがって、料理の本にあるようなむずかしい調理法は用いず、きわめて簡単な方法だけで味わいます。
主に東北地方の風習そのものが多い。
●生食
そのまま生で食べるもので、主に果実類がそれです。
その他、くせのない茎葉類なども生食します。
山野で即席に塩、味噌などをつけて食べます。
●ひたしもの
日頃、食膳にのせるおひたしと変わるところはありません。
ゆでたものをよくしぼり、または水を切って、しょう油、酒などを適量さし、けずりぷしをかけるとまた別な味わいがあります。
●あえもの
おろしあえ……大根おろしに山菜をあえ、しょう油、好みで酢を少し入れるのもよいでしょう。
辛子あえ……洋辛子、和辛子にしょう油を加えてあえます。
なっとうあえ……なっとうをしょう油で味付けして山菜をあえ、好みで卵、ネギ、ショウガなどを加えます。
なっとうはみじん切りにするとあえやすくなります。
ごまあえ……ごまをすり、しょう油、砂糖、味噌などを適量加えて、山菜をあえます。
じんだあえ……えだ豆や青大豆をゆで、すり鉢でよくすり、適量の酒、塩、みりんなどで調味して、これにゆでて切った山菜を合わせる料理で、東北地方で広く行われています。
白あえ……水を切った豆腐をすり、調味したものに山菜をあえます。
クルミ・ピーナッツあえ……クルミかピーナッツをすりおろし、しょう油か塩(好みに応じて砂糖を加える)でとろみを出し、切った山菜をあえます。
即席にはピーナッツバターを使います。
その他、現代風にマヨネーズあえ、トマトケチャップあえ、洋風、和風、中華風の各種のドレッシングでアレンジするのもよいでしょう。
●煮びたし
東北地方の料理で、凍豆腐、うち豆、シイタケなど、それぞれ好みの材料をうすく切り、だし汁でよく煮た汁に、さめてからゆでた山菜をきざんでよく混ぜ合わせます。
●ひや汁
これも山菜の本場、東北の料理です。
だいたい煮びたしに似たようなもので、やはり同じような素材を用いますが、具は煮ないで、別々に合わせます。
ちがうところは、しょう油を土台に味をつける点です。
いわば冷菜といったところです。
●塩びたし
野外で即席にできるちょっとした漬けものと思っていただければよいでしょう。
よく水洗いした山菜に、好みに応じた量の塩をまぶして軽くもみ、よくしぼって、適当に包丁を入れてそのまま食べる、ただそれだけです。
ビニールの袋に、きざんだ山菜を入れて塩を入れ、ビニールの上からしぼってつくる方法もあります。
かつおぶし、ショウガ、好みでは酢を入れても格別な香りと味が楽しめます。
ただし、これは、くせのない山菜にかぎります。
●天ぷら
山菜の天ぷらは最も味をよくする料理法の一つです。
特にくせの強いものほど、そのくせが抜けて、これが?というような味になります。
材料はいたるところにあるので、どんどん利用してもらいたいものです。
山菜の天ぷらは、うすめの衣で、手早くからりと揚げるのがコツで、ごてごてしたメリケン粉のだんごのような揚げ方では、あくも抜けませんし、食べられたものではありません。
ツバキ、サザンカなどの花の天ぷらは、美しい花の色を出すのに、衣に酢を数滴落とし、さっと揚げます。
●妙めもの
生の山菜をそのまま妙めるのと、ゆでて水を切ったものを妙める場合とがあります。
あまりくせのないものは生で、くせ、あくのあるものはよくあくを抜いてから妙めます。
●山菜飯
山菜をゆでるときに塩を入れて、ゆで上がったものをよくしぼり、細かく包丁を入れておきます。
ご飯は普通に炊いて、炊き上がった時に、先の山菜をまんべんなく混ぜ合わせます。
一般につくる菜飯の要領で、やわらかな山菜に利用します。
また、山菜を少量の塩を入れた湯で軽くゆでて水にさらし、よくしぼって細く切っておきます。
ご飯はうすい塩味で炊きこみ、吹き上がって火をゆるめる時に先の山菜を入れ、しょう油、酒などで好みに応じて調味して、そのままむらして炊き上げます。
おひつに移す時に混ぜ合わせて仕上がりです。
昔からよく利用されたものには、ヨメナ飯などがあります。